ブラック・スワン関係
2009-06-09


ASAHIネット([URL]のjouwa/salonからホットコーナー([URL] )に転載したものから。
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[URL]
ナシーム・ニコラス・タレブ著「ブラック・スワン」、まもなく出版!
に、katoさんのコメント。
 ブラック・スワンはトンデモではないかという意見もあると。なるほど、そ
うかもしれない。
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クーリエ・ジャポン2008年12月号、佐賀のカチガラス(カササギ)
で書いたように、クーリエ・ジャポンのタレブさんのインタビューを読むと、
この人、複雑で面白い人物。
 で、katoさんが示してくれた
[URL]
と、その先の
[URL]
The Black Swan
を読んだけど、「似非科学により確率・統計学を根拠無く貶めている」は、柏
野さんの誤爆でしょう。
 理由は、塩沢由典さんがコメントに書いているとおり。
 ブラック・スワンは、未読だけど、話のポイントは、
[URL]
データや統計の罠と監視社会
[URL]
サブプライムローン問題、モノ作り脱却論、金融立国論その2
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ブラック・ショールズの公式
あたりで書いたように、正規分布だと捉えきれない。でも、数学的に扱いやす
いから正規分布でやってみて、そこそこいいものができたのが、ブラック・シ
ョールズの公式だと思うんですよね。だから、真の北を示していなくても、北
極星を発見したという価値はとてもあると思っています。
 でも、いつの間にか、これが絶対正しいもののように扱われて、さらに毒入
り饅頭を無知な人たちにばらまくのに使われて、まあ、詐欺のツールとして金
融工学が使われたと。そういうことでしょ?
 平均とか分散とか求めても意味がないようなものや、うまく収束しない分布
ってあるでしょ。べき分布もそうですよね?
 金融のデータがべき分布なら、正規分布を使うと、リスクを過小評価してし
まう。そこに金融工学の本質的な問題があったということでしょ。

 前も書いたけど、金融工学やファイナンス理論は正しいけど、使い方が悪か
ったとか、使わなかったのが悪かったという議論は、通用しないと思う。金融
工学やファイナンス理論には限界があって、現実を捉えてきれていないという
本質的な欠陥が露呈したということだと思うけどね。
 野口悠紀雄も、金融工学やファイナンス理論は正しいけど、使わなかったの
が悪かったと書いてたけど、それじゃ、本質を観てないでしょ。
 ああ、
[URL]
未曾有の経済危機 克服の処方箋―国、企業、個人がなすべきこと (単行本)
野口 悠紀雄 (著)
の目次をみても、そういう感じね。これ、週刊ダイヤモンドの連載をベースに
しているような気がしますね。連載で読んだような話が並んでいる。
 ああ、野口さん、株や為替の予想をするのはおかしい、開幕前に行なうプロ
野球の順位予想みたいなものと批判してきたのに、この本の「日本経済の今後
の見通し」あたりでやってることは、結局、それだね。
 いまの経済学の理論は、数理的なものでも、自然科学の理論に比べて、予測
力は非常に低いので、データを分析しても、自ずと限界はあって、断言できる
ことは、ほとんどないはずのに、断言しちゃうんだよね。本来は、こうなりが
ちとか、これくらいの確率でこうなりそうとか、未来は確率的にしか記述でき
ないのに、断言しちゃう。

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