データや統計の罠と監視社会
2006-11-26


ASAHIネット([URL]のjouwa/salonからホットコーナー([URL] )に転載したものから。
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 この前、
[URL]
伸びない典型
で、
[URL]
アメリカの高校生が学ぶ経済学 原理から実践へ [単行本]
ゲーリーE.クレイトン (著), 大和総研教育事業部 (著), 大和証券商品企画部 (翻訳)
のことを紹介し、「GDPがサンプリング技術を用いることでどんな問題が起こっているか」とか、
--- ここから ---
 経済学で使う統計の数字については、常に疑いをもって吟味することを教え
ているのにも感心する。いま、挙げたGDPもそうだが、たとえば失業率には何
がカウントされ、何がカウントされていないかを解説してあり、演習問題のク
リティカル・シンキングでは、「雇用統計はなぜミスリーディングなのか」と
いう設問がある。
--- ここまで ---
などと書いた。その参考になる本の紹介。

[URL]
田村秀著「データの罠―世論はこうしてつくられる (新書) 」

 視聴率、内閣支持率、経済の各種統計やらなんとかランキングやら、データ
があふれているが、それらは本当に信用できるのか。本書は、それをさまざま
に検証してみせてくれる。
 オビにある「知らないうちにあなたの意見も操作されている!!」は、言いえ
て妙。
 町おこしで、わが町はXX日本一などというのがあるが、あれ、怪しいんだ
ね。テレゴングは世論調査ではないとかね。インターネットの調査なんてのも、
調査の名に値しないことがわかるし、経済波及効果なんてほとんどでっち上げ
みたいなもんなのね。
 小泉改革のときに、政府が出した数字なども、相当に怪しかったことがわか
る。それをムードで押し切っちゃってさ。後押ししたのは、日本ジャーナリズ
ムのガン、ギルドといわれている記者クラブにたむろして官公庁や企業の大本
営発表を垂れ流す脳みそパーのテレビ屋と新聞だもんね。
 読むといろいろ面白いというか、役所も企業もマスコミもみんな、バレなき
ゃいいだろうな、いい加減でギリギリスレスレのことやってるんだね。
 逆にいうと、まともな調査がいかに大変か。やれ個人情報保護だなどといわ
れる現在、まともなデータを採集するのが大変になっているかもよくわかる。

[URL]
門倉貴史著「統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (新書) 」

 あれ、いま、アマゾンのデータをみると、本書の著者は、門倉貴史なのに、
岡本裕一郎になっている。間違ってるね。アマゾンのデータも疑わないとね。
\(^O^)/
 冒頭、交通事故死亡者数激減の種明かしから読者を引きつけて、離さない。
 ここでも、経済波及効果の発表が、シンクタンクが自社の名前を売るための、
広告、営業用アドバルーンでしかないことが暴露されている。
 平均など統計の初歩の初歩から説き起こし、通説や統計の裏側を垣間見せて
くれる。
 おれ的には、第4章の「もう統計にだまされない 統計のクセ、バイアスを
理解する」が本書の白眉。消費者物価指数(CPI)には上方バイアスがあって、
どれくらいバイアスがあるか、推定する話。なるほど、そうやって検証するの
かと、蒙を啓かれる思いだった。もう忘れたけど。\(^O^)/
 これには、日銀もまんまと引っかかったように書いてあるね。
 地下経済の話もあるが、これはおれのほうが詳しい。
 おれの元には、全国1万人のクラブホステスや風俗のお姉さんたちから、日
々情報が入ってきているからな。

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