ASAHIネット(
[URL]のjouwa/salonからホットコーナー(
[URL] )に転載したものから。
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ブルーバックスの気になる新刊と、CD/DVD付き書籍
で名前を出した
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離散数学「数え上げ理論」 (ブルーバックス) (単行本)
野崎 昭弘 (著)
目次は
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をどうぞ。
実際に手を動かして、問題を解きながらやってるから、まだ、第3章ですが、
これは、いいですね。
第1章冒頭に、おみやげの配り方の例題がある。ちょっと引用。
例題1−1
イギリスで買った、種類が違う紅茶の缶が4つある。これを4人の友人に1
つずつ分けたい。何通りの分け方があるか?
例題1−2
フランスで買った、同じフォアグラの缶が4つある。これを6人の友人の誰
かに1つずつ分けたい。何通りの分け方があるか?
離散数学なら任せろとかいって、問題解いた。この2つは楽勝だった。調子
に乗って、
例題1−3
イタリアで買った、柄の違うスカーフが6枚ある。これを全部、4人の友人
に分けたいが、何通りの分け方があるか? ただし、不公平になるのは仕方な
いが、誰にも少なくとも1枚はあげるとする。
をやったら、もう間違えた。\(^O^)/
なお、答はすぐには書いてない。ひとつひとつ考え方を丁寧に説明してある。
それも実際に手を動かして樹形図を書くことから始めている。
身体性(エンボディメント)の重要さね。体の記憶は脳の記憶と違って、覚え
にくいけど忘れにくい。
これらの例題から、確率を計算するバリエーションもある。
確率や統計って、結局、いかに正確に、重複なく、漏れなく数え上げるかが
基本。だから、確率や統計が苦手な人にも、この本はお薦め。
おれ、間違った問題で、悔しかったのが、64ページにある応用2。
応用2
プロ野球の日本シリーズ(先に4勝した方が優勝する)で、あるチームが4勝
3敗で優勝するときの、勝ち負けの順序は何通り?
76ページには、パスカルの錯覚系、もとい、三角形が出てくる。
これ、17世紀のパスカルが考えたんじゃないのね。もっと昔から知られて
いたようで、アラビアでも中国でも13世紀には知られていたらしいのね。中
国では、朱世傑の「四元玉鑑」(1303)に載っているそうな。誰が発見したか定
かではないけど、今となっては「朱世傑の三角形」といってもわかってもらえ
ないので、本書でも俗称「パスカルの三角形」を使うと書いてある。
朱世傑の名前は、
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文藝春秋2008年12月号の本の特集
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数学的思考法は、そんなお勉強じゃ身に付かないってば
で紹介した
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1冊でわかる数学 (1冊でわかる) (単行本)
ティモシー ガウアーズ (著), Timothy Gowers (原著), 青木 薫 (翻訳), 上
野 健爾
で、解説の上野健爾さんが数学の歴史の解説を書いているが、その中で知った。
そこには、示唆的な話も書いてあった。
中国の数学は、常に実用性を重んじたものだった。そのせいで、一時は、方
程式論など中国の数学は大発展したのに、数学が直接、すぐ応用に結びつかな
いと忘れ去られるそうな。目先の利益優先だから、抽象的な理論が忘れられて
発展しないわけ。
ヨーロッパの数学は、逆に、すぐ役には立たない抽象的な理論も捨てなかっ
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