筒井康隆「モナドの領域」の「公園」の章をやっと読了
2015-09-29


ASAHIネット([URL] )のtti/salon(筒井康隆会議室)からホットコーナー([URL] )に転載したものから。
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 「公園」の章をやっと読み終わりました。
 大変なことになりましたね。どうなるんだ、これ。

 栗本も教授も、目がぐりぐりとなって、モナド星人に乗っ取られた?
 異星人の侵略モノのSFかと、思いました。

 小学生の頃、インベーダーというテレビドラマが流行りました。異星人は、
人間そっくりなんだけど、小指が曲がらないんです。それが見分けるポイント。
 ぼくたちは、すぐ影響されたから、毎朝、小学校に登校したら、友達同士で、
小指が曲がるか確認して、「ああ、よかった。みんな無事だった」と、お互い、
胸をなで下ろす毎日でした。
「正ちゃんのお父さんは、小指が曲がる?」
「うーんとね。わかんない。小指がないから」
 父は、ちゃんと両手とも小指はありました。念のため。

 侵略モノといえば、今年前半、ディスカバリーチャンネルで放送された「地
球外生命体との遭遇」が、従来にない侵略方法でした。
 地球文明よりはるかに進んでいることが明らかな他の星の文明が、巨大な母
船を地球に送り込んできます。侵略されると思ったら、爆発しちゃって、勝手
に自滅します。
 元寇における神風が吹いたみたいなものです。やれやれと思ったら、それが
罠。
 実は、粉々になった宇宙船の破片が地球の周りを回るリングになって、DNA
レベル、遺伝子レベルで侵入してくるんです。
 その後に生まれて来る子供は、すでにゲノム編集で別の人類になっています。
それが子供がある程度成長してからわかるんです。
 皆殺しにすると、人類の次世代がいなくなるので、文明・文化が維持できな
い。かといって、放置すると、その子たちは、別の世界を作って、いまの地球
文明・文化を乗っ取っていくことになる。人類、困りました。
 番組はドラマ仕立てですが、要所要所で、科学者、研究者などが、物理学、
天文学、生命科学、脳神経科学、量子情報科学、量子コンピュータなど、最先
端の知見を説明する科学啓蒙番組でもありました。

[URL]
-n1.html
もし宇宙人が人類に接触してきたら…新たな“未知との遭遇”をリアルに
 ディスカバリーチャンネルのウェブは、ろくにメンテナンスされていなくて、
リンクがでたらめですが、とりあえず番組のページ
[URL]
地球外生命体との遭遇

 教授が、神の遍在について述べるくだり。
 カート・ヴォネガットへのオマージュだと思いました。
 「タイタンの妖女」「スローターハウス5」を思い出しました。
 トム・ハンクス主演の映画「フォレスト・ガンプ/一期一会」も頭に浮かび
ました。
 筒井さんのエッセイで紹介されていなかったら、カート・ヴォネガットなん
て読まなかったし、ガルシア・マルケス、ボルヘスなどのラテンアメリカ文学
は、絶対に読まかった人生になっていました。
 これらを読んで、
「実にいいものを紹介してくださった。世界は広い。文学ってこんなにすごい
んだ。人生がほんとに豊かになった:
と思います。もし読んでなかった人生を思うと、感謝感謝です。

 公園の描写。大作家に失礼なのは重々承知していますが、うまい。素晴らし
い。
 マンガでいう、モブ(群衆)シーンにたとえると、力強い線、しかし、雑では
なく、しなやかで実に端正な線で描かれていて、しかも、無駄な線、足りない
線が一本もない揺るぎない描写。
 いうまでもなく、芸術ですよ、これ。
 読んでいて、文学は文章の芸術であることを改めて感じました。


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