小説 TRIPPER (トリッパー) 2011春季号 大江健三郎×筒井康隆×丸谷才一
2011-04-11


ASAHIネット([URL] )のtti/salon(筒井康隆会議室)からホットコーナー([URL] )に転載したものから。
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 朝日新聞に載った「大江健三郎×筒井康隆×丸谷才一」鼎談。
 その拡大版が載った小説 TRIPPER (トリッパー) 2011春季号 2011年 3/20号
を、やっと買ってきて読みました。
 本物の読書家、読書人、批評の世界、文学の世界がどういうものかを、久々
に感じる読み物でした。
 なにしろ、普段は、ブログにあふれる書評、レビューといいつつ、第1次近
似感想文レベルの駄文を目にすることが多く、書評、レビューという言葉も、
ずいぶんと安っぽくなったと思うことが多いからです。
 ぼく自身もウェブやブログにそういう駄文しか書いていません。
 そういう駄文でも、お世辞で、立派な書評ありがとうございますなどと、お
だてられることがあり、いや、そんな代物じゃないのだがと、内心、忸怩たる
ものがあります。

 この鼎談を読んで改めて思ったのは、大江健三郎、丸谷才一の両氏は、筒井
康隆の大ファンだということ。一緒に話ができるのが、楽しくて仕方がない様
子が伝わってきました。
 とりわけ大江さんは、有頂天といっていいくらい、うれしくて仕方がないの
が伝わってきました。
 そういえば、成城学園での朗読会。
 世界のノーベル文学賞作家なのに、あのときの大江さんは、まるで宝塚のス
ターを観にやってきた女子高生のような目の輝きでした。
 「笑犬楼大通り 偽文士日碌」の2011/01/20には、大江さんが落語までやっ
たとあったので、朝日新聞には載らなくても、拡大版のこちらは載っているの
ではないかと期待しましたが、載っていませんでした。残念。

 この鼎談。新刊「漂流 本から本へ」の出版記念で行なわれたとのことで、
ちょっと「漂流 本から本へ」のことも。
 「漂流 本から本へ」で紹介されている本は、筒井さんのこれまでのエッセ
イで登場した本も多かったのですが、筒井康隆の人生の流れに沿って紹介され
ると、また、味わいが違います。
 それにしても、子供のころに読んだ本を書いた部分では、後にまさかこの本
のあの人とああしたこうしたになるとは、このときはまだ夢にも思っていなか
ったというのが多いですね。
 筒井康隆は、本をユニークな解釈で読み、しかも血肉化して、独創的な表現
で作品に結実させていることを、大江さん、丸谷さんが感心もし、あきれても
いますが、作品になるだけではなく、江戸川乱歩をはじめ、名作の作者と、実
際の人生で深く関わるようになっていったところも、すごい人生だなと。

 筒井康隆が書くと、無性にその本が読みたくなるという話が出ていましたが、
思えば、筒井さんのエッセイがなければ、ぼくなんかが、マルケス、ボルヘス、
リョサといったラテンアメリカ文学なんか読む事なんてあり得なかった。
 国書刊行会って、何?いう人間なんですから。
 人生の幸運。ありがたや、ありがたやと思います。

[URL]
小説 TRIPPER (トリッパー) 2011春季号 2011年 3/20号 [雑誌] [雑誌]

[URL]
漂流 本から本へ [単行本]
筒井 康隆 (著)

関連:
[URL]
筒井康隆朗読会初日
[URL]
Re: 筒井康隆朗読会初日
[URL]
筒井康隆朗読会最終日
[URL]
マイクロソフト元社長の成毛が相変わらず軽いので、ツイッターで話題になっ
ていました。

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