将棋世界2010年3月号、コンピュータ将棋、機械学習の弱点
2010-02-08


ASAHIネット([URL] )のjouwa/salonからホットコーナー([URL] )に転載したものから。
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[URL]
将棋世界 2010年 03月号 [雑誌] (雑誌)
は、読みどころ満載。
 将棋関係、面白い話がいろいろあって、あれこれ紹介したいけど、時間がな
いから、今日は、コンピュータ将棋の連載「コンピュータは七冠の夢を見るか?
」のみ。
 今月は、機械学習の弱点についての解説。
 いま、コンピュータ将棋は、革命をもたらしたBONANZA(ボナンザ)の機械学
習、いわゆるボナンザメソッドが主流ですが、そのBONANZAが手も足も出ない
戦法が出ています。その名も「丸山スペシャル」。
 これが、実に機械学習の弱点を突きまくった戦法で、人間ならアマチュアで
も、おれでも簡単にこの戦法を破れるんだけど、コンピュータは手も足も出な
い。
 「丸山スペシャル」は、機械学習の本質的な問題を目に見える形で提起した
戦法です。

 昔、弾さん(小飼弾)が、たしか、渡辺竜王の本の感想を書いていた。
 脱線するが、あのレベルは、書評でもレビューでもない。第1次近似感想文。
これは、「勝間和代・小飼弾対談」批判を書くときに詳しく書こうと思ってい
たけれど、その批判文、まだ書いてないね。^^;
 で、弾さん、結局、プロがたくさん指せば指すほど、コンピュータが学習し
て人間を打ち負かすようになるといったことを書いていた。
 弾さん、機械学習を知らないんだよね。やったこともないだろうし。
 そんなに機械学習が簡単で万能なら、いまごろ、人類をコンピュータ知性が
支配してますよ。人間が生まれてから20年かかって大人になるとしたら、コン
ピュータは機械学習で2年で大人になるでしょう。下手すると2ヵ月ね。^^;
 それだと、人間はコンピュータやロボットの奴隷になるだけですね。でも、
そうなってないのは、なぜかってところが、人間ならではの知性とは何か、生
命とは何かという深い哲学的問題なんです。
 勝間和代や野口悠紀雄のつまらぬハウツーが、知的生産術と持て囃されるレ
ベルの低い世界、おれがいうところのカモリーマンをターゲットにしたカモリ
ーマンビジネスの世界は、人間ならではの知性とはほとんど関係ない。あんな
のを知的生産術と呼ぶのは、詐欺同然。でも、引っかかるバカがいっぱいいて、
お金になるからね。
 そんなカモリーマンも、人間ならではの部分、自分の強みに気づけば、ああい
うニセモノに引っかからないのに、不況で首切りやら精神的に追い詰められて
るからね。

 話を戻すと、
[URL]
将棋ネタ、名人戦、瀬川四段、どうぶつしょうぎ、世界コンピュータ将棋選手権
で紹介した「漫遇将棋」は、機械学習の本質的弱点をなんとかしたいとやって
いるわけ。そこに書いたような問題があるわけ。
 それをはっきり目に見える形にしたのが、「丸山スペシャル」。
 駒の配置が異様ですよ。でも、解説を読むと、なるほど、これで攻めが鋭い
BONANZA(ボナンザ)も手も足も出ないのかと。
 コンピュータは、前例を学ぶことはできても、まだ、定跡を覆す新手、新定
跡を編み出すことはできないんです。人間ができるような創発がないんです。
だから、前例が少ない局面では、アホな手を指すし、人間なら簡単に勝てる布
陣である「丸山スペシャル」のような布陣をされただけでも勝てないわけです。
 これをみて、人間の名人にコンピュータが勝つのは、まだまだ先かなと思い
ました。
 問題は、人間の名人が、こんなヘンテコな布陣をしてまで、コンピュータに
勝ちたいと思うかどうか。その対局を観るファンが、納得するかどうかですね。

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