GRAPE本、杉本大一郎著「手作りスーパーコンピュータへの挑戦」と「シミュレーション天文学」
2008-02-14


ASAHIネット([URL]のjouwa/salonからホットコーナー([URL] )に転載したものから。
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[URL]
GRAPE本、伊藤智義著「スーパーコンピューターを20万円で創る」
の続き。
[URL]
杉本大一郎著「手作りスーパーコンピュータへの挑戦」講談社ブルーバックス
は、GRAPEプロジェクトを始めた杉本大一郎先生のGRAPE本。
 前回紹介した
[URL]
伊藤智義著「スーパーコンピューターを20万円で創る (集英社新書 395G)」
が、昨年出るまでは、GRAPEの一般向け読み物としては唯一のものでした。
 1993年発行だからもう15年前ですね。ぼくの持ってるものは、もうページが
茶色く焼けた感じになっています。
 ぼくは出てまもなく買って読んで、GRAPEの存在、専用コンピュータがツボ
にはまったときの処理能力の高さ、コストパフォーマンスの高さなどを知りま
した。
 おれ、特定問題だけに使える専用コンピュータって好きなんですよ。何度か
書いている、あるプログラミング言語をハードウェアが直接実行している高水
準言語マシンね。一番商業的に成功したのは、Lispマシンですが、その昔は、
FORTRANマシン、ALGOLマシン、COBOLマシン、Prologマシンなどいろいろあり
ました。でも、いずれも、汎用プロセッサの処理能力向上と、大量生産、大量
販売によるコストダウンに負けて、姿を消すわけですが。だから、なおのこと、
好きなのかもしれない。

 本書は、当時の日本の天文学がどうだったかなども含めて、GRAPEプロジェ
クトが始まる前から、プロジェクトを発案者でリーダーの杉本先生が書いたも
ので、伊藤氏の本とは、指導教官と学生ということで立場も違うし、目線も違
うので、読み比べると面白いでしょう。
 と書いたけど、アマゾンは在庫がなくて、マーケットプレイスに出品がある
だけですね。ぼくの手元にある本では、定価780円となってるけど、マーケッ
トプレイスでは、1680円にもなってますね。これでまた一財産できたな。MSを
押しのけて、おれがYahoo!買収もできるね。\(^O^)/

 今回、一連のGRAPE本紹介を書くために読み直して、いくつか驚くことがあ
りました。15年前に読んだときは、全然、気づいてない。少しは、おれも成長
したということなんだろうか。^^;

 まず、GRAPEを生命科学、分子動力学に使えないかという話が書いてあるこ
と。タンパク質の構造と機能を探るために使うわけです。GRAPEが新聞、雑誌
などで報道されて、問い合わせや見学依頼が殺到したそうですが、本書では、
大阪にある半官半民の蛋白工学研究所の斉藤稔さんが非常に熱心で、最初に見
学に来られたそうです。
 検索してみたら、ありますねえ。
[URL]
情報計算化学生物学会
という学会があったのも、恥ずかしながら知りませんでした。しかも、少なく
とも20年前から活動しています。ぼくがその宇宙の端っこのほうで関係してい
るバイオインフォマティクスは、15年くらいの歴史だから、それより前から、
計算機でいろいろやったんですね。
[URL]
CBI学会ワークショップ、講演会、年会、演題一覧(1988-1993)
には、1988年から1993年までの活動内容が出ていますが、この中に、
第 91 回 CBI 研究講演会 1990.11.22 「第5回分子動力学勉強会」
「水中のタンパク質の分子動力学計算」: 斉藤 稔(蛋白工研)
として、斉藤さんのお名前がありますね。
 そんな昔から、みなさん、挑戦してたんですね。道理で速い計算機がほしい
はずです。

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