高木さん、もっと文学、勉強しましょう
2007-07-27


ASAHIネット([URL]のjouwa/salonからホットコーナー([URL] )に転載したものから。
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 コンピュータセキュリティ関連で精力的に活動している、高木浩光さん。頭
が下がる思いで尊敬していますが、
[URL]
キンタマウイルス頒布にマスコミ関係者が関与している可能性
は、だめ。完全に誤爆。
 武田徹が、「ウィニーこそ史上最強の「ジャーナリスト」?」でいっている
のは、ウィニー礼賛ではなく、ジャーナリズムの衰退への皮肉、叱咤激励。
 ひねった文章じゃないんだから、これくらいは読めないと、これで犯罪者と
やり合えるのかと、セキュリティ専門家として能力に疑問符がつきかねない。
 高木さん、もっと文学、勉強しましょう

 以下、一般向け。
 もの書きは、いろいろなレトリックを使うし、文章にいろんなものを埋め込
んでいる。書いた本人すら気づかないものもあるし、そういうのを掘り出すの
が「読む」ということ。字面を追って表面的に意味がわかっただけじゃ、ほん
とは「読む」とはいわないんだよね。本来、「読む」とはもっと深い行為だか
ら。
 悪巧みもいろいろやるし、高木さんは、作家の悪意というものにもっと敏感
であったほうがいいと思う。
 今回は、武田さんがやったのは悪意というほどのものではなく、かなりスト
レートな書き方なので引っかかる人は少ないだろうが、読者がどの程度読み込
めるか、文章にいろいろ仕掛けてあることも多いのよ。それで読者のレベルを
測定し、はっきりいえば、こいつはバカかどうかも判定できるような要素も仕
掛けてあったりするわけ。
 こういうのに気づいたのは20歳前後から。何度も書くけど、筒井康隆が仕掛
けを施すほうだし、それを山下洋輔、平岡正明らが読み解いているのを知って、
自分の思い上がりを叩き潰されたから。

 「読む」ことに興味がある人は、この前、
[URL]
高校生のための文章読本
で紹介した
[URL]
梅田卓夫, 清水良典, 服部左右一, 松川由博編「高校生のための文章読本」
から始めたらどうかな。

 趣味が合うなら、
[URL]
平岡正明著「筒井康隆はこう読め」
を薦めます。
 これは元々は別になっていた(おれが読んだのはバラバラのころ)のをビレッ
ジセンターが合本に出したもの。

[URL]
伸びない典型
でも触れています。
 別に筒井さんじゃなくて、自分の好きな作家をみつけて、読み込んでいくの
が一番いい。おれはたまたま高校生くらいで筒井康隆作品に出会ったというこ
と。
 もちろん、小説だけが「読む」対象ではない。絵画や彫刻だって好きな作家
の作品を読み込んでいくのもいいし、書道の書だって、音楽だってある。

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