ヤバい経済学と相撲の八百長
2007-02-09


ASAHIネット([URL]のjouwa/salonからホットコーナー([URL] )に転載したものから。
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 昨年の経済書のベストセラーで、ビジネス誌のベスト経済書でも多くの人が
上位に挙げていたのが、
[URL]
スティーヴン・レヴィット, スティーヴン・ダブナー著, 望月衛訳「ヤバい経
済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する」
(2010/03/05 追記:
[URL]
ヤバい経済学 [増補改訂版] (単行本)
スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー (著), 望月衛 (翻訳)
が出ている)

 これ、昨年、買っておいたんですが、やっと読む機会ができて、読み始めて
びっくり。
 いま、相撲の八百長で大騒ぎになっていますが、本書では、第1章で日本の
相撲における八百長の存在をデータ分析で証明しています。\(^O^)/
 著者は、不正、インチキをデータから見つける研究をしていて、ワシントン・
ポストのベタ記事で、日本の相撲に八百長があると元力士2人が告発したとい
うのをみつけ、自分の手法が使えるのではないかと思って、英語相撲専門誌の
バックナンバーを15年から20年分くらい取り寄せて、過去の星取表を分析した
ところ、勝ち負けの不自然さが顕著で、八百長がないと言い逃れるのは非常に
むずかしいという結論を得て、論文を発表しています。
 なお、告発した2人は、たしか同じ病院で亡くなってるんですよね。外国人
記者クラブで会見する直前じゃなかった? しかも2人、同じ日に死んだ?
 そんなこんなで消されたんじゃないかともいわれましたよね。

 訳者あとがきにある後日談によると、その論文を発表したらアメリカでは話
題になったけれど、相撲の八百長を記事にしていた日本の週刊ポスト編集部に
送ったのに返事がない。ほかにもいくつか問い合わせが日本からあったけど、
結局、この論文のことは話題にならなかったそうです。
 それでこの本が日本で出たら、反応がどうなるか楽しみだったらしいですが、
ぼくが知る限り、昨年、本書と相撲の八百長を結びつけて話題にしたものはな
かったと思います。
 それどころか、いま、相撲の八百長を週刊現代が報じて、法廷で決着をつけ
るとかいって大騒ぎになっていますが、それでも本書ですでに八百長の存在が
証明されているという紹介はないみたいに思うんですが、どうですか?
 そこで、これを書いているわけです。
 いま、フジのとくダネ!で、領収証もないし八百長の存在を証明するのは難
しいんじゃないかという話が出てますが、個別には証明できなくても、相撲界
全体で日常的に行なわれてきたことは、本書の分析で証明できるでしょうね。
 週刊現代編集部は、著者に連絡を取ったらいいと思うけどね。

 インチキ、八百長以外にも、世の中の裏側にある事象を、あれこれ分析して
いて、非常に面白いです。
 以前、
[URL]
データや統計の罠と監視社会で紹介した、
[URL]
門倉貴史著「統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?」
をもっと、ヤバい裏側に適用した本ですね。
 もっとも、門倉氏は
[URL]
門倉貴史著「「夜のオンナ」はいくら稼ぐか?」

[URL]
門倉貴史著「マネーロンダリング―汚れたお金がキレイになるカラクリ」

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