星崎憲夫、町田茂著、町田茂監修「基幹物理学」(てらぺいあ)
2009-01-14


ASAHIネット([URL]のjouwa/salonからホットコーナー([URL] )に転載したものから。
---
[URL]
日経サイエンスで見つけた注目本
志賀浩二「大人のための数学」シリーズ
で名前を出した
[URL]
基幹物理学 こつこつと学ぶ人のためのテキスト
星崎 憲夫著 町田 茂著 町田 茂監修
を買いました。
 数日前にやっと届いた。でも、風邪で寝込んでました。
 大判の本で、1000ページ以上あるから分厚い。でも、ハードカバーではなく
ソフトカバーなので、手に持ってもページはめくりやすいですね。
 つらつら眺めると、字が大きめでゆったりしたレイアウト。老眼になりつつ
あるおれでも読みやすい。「もう一度きちんと学び直したいと思っている団塊
の人たちにも適合するよう大きな文字を使用した自学自習書である」の面目躍
如だろう。
 よし、今年1年は、これを少しずつやろうなどと思って、その日はそのまま。
 さあ始めようと思ったら、寝込んでしまった。
 やっと熱が下がって動けるようになって、昨夜、まだ頭がぼーっとするけど、
ちょっと見てみようかなと思って、「序文」と「はじめに」を読んでびっくり。
 本書が出版されるまでのドラマ、関係者の思い、尽力は大変なものがあった
んですね。
 本書の出版は2008年4月ですが、著者の一人、星崎憲夫京都大学名誉教授は、
本書の完成をみることなく、2005年9月に、ガンのため亡くなっています。
 そのため、本書のまえがきは、著者に代わって、担当編集者の波多坦氏が書
いています。そこに、出版に至る経緯が述べてあります。
 星崎先生は、京大退官後、四天王寺国際仏教大学教授になって、
--- ここから ---
そこであらためて、日本の高校教育が大学受験のためのスキル向上を重視した
ものになっている実態を知った。それは、入試用の文・理分け教育であり、特
に物理学では文系・理系を問わず効率重視のいくつかの“公式と解法丸暗記”
の学習方法が行なわれていることであった。
 そこから生まれてくるものは学問への興味と関心を失わせ、萎えさせるもの
以外のなにものでもない。当然のことながら、自然現象を数学で読み解いてい
く物理学的な思考方法など育つはずもないのである。
--- ここまで ---
と、愕然とします。

 これと同じ状況があるでしょ。何度も書いてるけど、勝間和代、神田昌典、
中谷彰宏などの、マーケティングテクニックを駆使して売りまくる、中身がな
い安直ビジネス本の世界。彼らをカリスマ扱いする日本の現実と、ビジネスパ
ーソンのスカスカな頭の中身。
 彼らの本は、目先の効率だけ。しかも、効率が上がったようにみえるだけ。
 〜力(〜りょく)がついたように思えるのは、一瞬の錯覚でしかない。巷にあ
ふれる安直ダイエットと同じ。薬物、シャブと同じ、一時の夢。
 基本からじっくり鍛え直さないで、力がつくわけがない。そんな簡単なこと
すらわからない、基本に戻る勇気がない、決断ができない連中が、救いを求め
て勝間たちに飛びつく。それでなんとかなるほど、世の中、甘くない。
 勝間たちに飛びつくのは、バカな宗教にハマって、時間と金と労力を巻き上
げられるのと同じ、詐欺に引っかかっているのと同じことに気づかない。これ
もダイエットと同じ。引っかかるのはバカなカモだから、ちょっと目先を変え
ると何度も金を巻き上げることができるのも同じ。だから、カモは何度も引っ
かかって、何冊もあの手の本を買って挑戦しては失敗する。というより、失敗
するように仕組まれている。失敗したほうが何度でもカモれるから。

続きを読む


コメント(全3件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット