真部一男九段、幻の4二角
2007-12-30


ASAHIネット([URL]のjouwa/salonからホットコーナー([URL] )に転載したものから。
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 将棋ネタ3連発の第3弾。
[URL]
将棋世界2008年2月号
は、先に書いた、先崎・内藤対談のほか、渡辺竜王四連覇という大きな話題を
しのぐ扱いで、将棋界の美男子、プリンス、スーパースターとして活躍し、先
ごろ若くして亡くなった真部一男九段の追悼大特集。
 ぼくはほとんど知らないんですが、ほんと昔の映画スターのような美男子。
大橋巨泉も追悼文を寄せていますね。
 この特集の中で、すごい話が出てきます。
 真部九段は、病魔に冒された体がぼろぼろで、対局できる状態ではなかった
けれど、2007/10/30に最後の対局をやったのですが、その相手が、現在、将棋
界最年少男子プロであり、将来を嘱望されている豊島将之四段。
 この対局では、真部九段が午前中にたった33手で投了。最後の棋譜を残し
ました。もう体がもたなかったようです。しかし、実は、投了した次の手とし
て、4二角を用意していたことが弟子の小林宏六段に病室で語った一言で明ら
かになっています。
 これが絶妙手だそうです。これを指されると相手は長考に沈むこと間違いな
し。ところが、自分の体はその時間はもうもたない。それで、4二角を指す前
に投了したとのこと。
 これだけでも、すごい話なんですが、このあとがまたすごい。
 「あの4二角でおれが勝ったはず。誰か、あの続きを指してくれないか」と
いうのが、真部九段のいわば遺言。
 後日、11/27にC級2組順位戦、新人王を取った村山慈明四段と大ベテラン
大内延介九段の戦いがあった。この戦いが、先の豊島対真部戦とまったく同じ
進行。
 そして、あの問題のシーン。後手の大内九段は、4二角を指す! これで、
村山四段は、110分の大長考に沈む。結局、この将棋、大内九段が勝ちを逃す
のだが、なんと、大内九段、あの4二角が真部九段の幻の角だったとは知らず、
あの豊島・真部戦とまったく同じ進行で進め、あの4二角を指していたんです。
 そして、なんと、あなた。その対局があった日は、真部九段のお通夜だった
んです!

 この将棋については、追悼文のひとつとして、小林六段が「4二角」と題し
て書いているし、棋譜を交えた詳しい解説は、先崎八段が連載(おれはこれを
読むのが楽しみのひとつ)「千駄ヶ谷市場」で書いています。
 4二角にまつわる事情を聞かされた大内九段。「残念だな。勝ってやらなき
ゃいけなかったな」と語ったそうです。

 すごい話ですね。
 さあ、あなたは、霊を信じますね。\(^O^)/

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