ニュートン別冊「虚数がよくわかる」
2009-09-05


ASAHIネット([URL] )のjouwa/salonからホットコーナー([URL] )に転載したものから。
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 書店に行ったら、
[URL]
虚数がよくわかる―”ありもしない”のに、難問解決に不可欠な数 (Newton別
冊) (大型本)
があった。ニュートン別冊で、オールカラーだから高いんだけど、面白そうな
ので買ってみた。
 虚数がテーマだけど、虚数を発見するまでの、無理数の発見、ゼロの発見、
負の数の受容など、数の発見の歴史も追っています。2次方程式や3次方程式の
解の公式や、デデキントの実数のことも、カントールの無限の濃度のこともわ
かりやすく解説してあります。
 地球人、虚数どころか、ゼロや負の数を受け入れるまでにも、ずいぶん、時
間がかかったんですね。現実から少し離れた抽象的な数だから。
 虚数に至っては、虚数を歴史上、最初に本に記したカルダノ(3次方程式の解
の公式で有名。実際に発見したのはタルタリアだそうです)でさえ、虚数は詭
弁で実用上の価値はないと書いていたそうですね。

 複素平面をうまく使ったパズルの問題をビッグバン理論を提唱した著名物理
学者のジョージ・ガモフが考えているのね。その問題が載っています。宝探し
の問題なんだけど、複素平面をうまく割り当てると解ける問題です。
[URL]
ブライアン・グリーン「宇宙を織りなすもの」、その他宇宙の謎関連
に書いたように、ガモフはトムキンスシリーズを中学から高校のころにかなり
読んだけど、この問題は記憶にない。
 というか、ほかも記憶にないだろ。
 はい、そうです。

 第4章虚数の物理学は、量子論以前の物理学には虚数は必要ないという話。
 一瞬、えっ?と思いました。
 いま、こつこつやってる
[URL]
基幹物理学 こつこつと学ぶ人のためのテキスト
星崎 憲夫著 町田 茂著 町田 茂監修
は、
[URL]
基幹物理学、やっと第2章終了
で書いた続きをやってるんです。振動です。減衰振動や強制振動が出てきて、
微分方程式が難しくなって、簡単に解けそうにない形になってます。
 ここで、複素数が出てきます。マクローリン展開も出てきます。
 懐かしい、30年ぶりくらいだね。マクローリンさん、お元気でしたか?
 はい、元気でーす。今日も世界中でばりばり級数展開してまーす。
ってな感じ。
 これで、自然対数の底(ネイピア数)と虚数と三角関数を結びつけるオイラー
の公式が出てきます。
 なお、「虚数がよくわかる」にも当然、オイラーの公式と、そこから導かれ
る、数学史上最も美しい数式といわれる有名なオイラーの等式が出てきます。
 で、振動はニュートン力学だから、量子論以前の物理学である、ニュートン
力学、マクスウェルの電磁気学、アインシュタインの相対性理論には、虚数は
必要ないというのは、おかしいんじゃないかと思ったけど、当たり前だけど、
おれがバカなのね。
 これらの物理学は本質的には虚数が要らないという意味なのね。基幹物理学
で虚数が出てきたのは、複素数を使って、微分方程式を解きやすくして、その
実数解を求めるための方便なんですね。オイラーの公式も実に役に立ってます。
 なお、相対性理論の4次元時空では、ピタゴラスの定理が成り立たないけど、
虚数を使うと成り立つ話、ホーキングの虚数時間のこと、ノーベル賞を受賞し
た小林・益川理論にも虚数が活躍する話が出てきます。
 大数学者ガウスが、正17角形がコンパスと定規だけで作図できる証明を思い

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